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ミツバチと共に90年――

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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

娘が作ってくれた薬

藤田徹郎

 

 私はハチがきらいだったため、蜂蜜も一切口にしなかった。
 子供の頃、近くに山がある田舎で育った。夏になると友達皆んなと、山に虫を取りに行った。かぶと虫やクワガタ虫を取って遊んでいた。蜜が出る木には、たくさんの昆虫がその蜜を舐めていた。だがそのたくさんの昆虫の中には、必ずスズメバチもいたのである。子供ながらにスズメバチの怖さは知っていた。しかし無鉄砲だった私は、ためらうことなく木に登り、かぶと虫とクワガタ虫を捕まえた。
 ある日、いつものように友達と山に行くと、たくさんのかぶと虫とクワガタ虫が蜜を舐めている木を見つけた。いつものように、かぶと虫とクワガタ虫を捕まえて木から飛び降りた。その時、一緒にとまっていたスズメバチに刺さされてしまった。激しい痛みとともに、刺された箇所が腫れてきた。
 私は泣きながら父親の仕事場に行った。父親は、慣れた手つきで刺された箇所を指でしぼり、毒を出し水でながした。
 氷で冷やしながら、私は病院に連れていかれた。大事に至らなかったもの、私はハチに対して恐怖を抱くようになってしまった。小学校で出される蜂蜜でさえ、口にしなかった。
 年月がたち、私も娘の父親になった。ある夏手前の日、私は風邪をひいたのか、喉が痛みいがいがしていた。それを聞いた娘は、 
 「私、お薬作ってあげる」
 といって台所に行った。家にあった大根を角切りにして容器に入れ、蜂蜜を注いだ。冷蔵庫に一時間くらい入れた後、私のところに持って来て、
 「はい、蜂蜜大根だよ、飲んでみて」
 確かに大根から水分が出て、飲み物になっていた。かわいい娘か作ってくれた物、私は絶対に蜂蜜は口にしないとはいえず恐る恐る口に入れた。蜂蜜の甘さと大根の少しのからさがマッチして、美味しい薬になっていた。娘は小学校で習ったのか自慢げに、
 「蜂蜜には殺菌効果、大根には喉の痛みを抑える効果があるんだよ」
 と説明してくれた。気分的であるかもしれないが、喉の痛みが和らいだ気になった。
 ミツバチが一生懸命に作る蜂蜜を、ハチにはやな思い出があるといって、一切口にしなかった自分を猛省した。
 娘が作ってくれた薬は、私の喉の痛みと一緒に蜂蜜に対する偏見もなおしてくれた。

 

(完)

 

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